[基本モジュール(Ver.2)]で挙げたモジュールだけでは、現在のネットワークシステムの機能を表現しきることはできません。そこで、基本モジュールの表現を応用した、他のモジュールの表現を紹介します。

VLAN

L2Rの応用として、スイッチのVLAN機能が挙げられます。VLANは、通常1台で1つのL2ネットワーク(ブロードキャストドメイン)の中継を行うものを、その内部で仮想的にネットワークのグループ分けを行う機能です。右に、VLAN機能によってネットワークグループを2つに分割したスイッチの図を示します。VLANはL2における論理的ネットワークを分割するので、L2ノード数は分割されてできたネットワークの数に対応して増加します。また、分割されているため、モジュール内のL2において通信を行うことはできません。よって、L2ノード同士のモジュール内リンクを生じません。

本モデルでは、通信の始点・終点だけでなく中継点も1つのノードとして表現されています。その結果、上記のL2RにおけるVLAN機能は、中継点を複数用意することで、仮想的に分割されていたネットワークをモデル上に表現可能とし、基本機能だけでなく応用への対応も果たしています。

仮想化対応

本モデルは仮想環境にも対応しています。右図は、サーバがゲスト(仮想)マシンを立て、それぞれ異なるOSやIPアドレスで、異なるサービスを提供している様子を示しています。物理的には、L2スイッチはホストマシンのみと接続していますが、ゲストマシンとの通信も可能であるので、その表現として間に仮想ブリッジを介しています。ゲストマシンはL1においてホストマシンと依存関係リンクで接続していることから仮想環境であることが分かりますが、L2以上においては他のモジュールから仮想環境を認識することはできません。