研究室について
研究室概要
コンピュータへの不正アクセスや情報漏洩は甚大な被害をもたらしうるため,安全で信頼できる電子社会の実現が強く求められています。このように至る所で情報技術が使われる今日において,暗号やセキュリティ技術はどちらかというと縁の下の力持ち的な存在ですが,その重要性が失われることはないでしょう。
また,ネットワークを利用した新たなビジネスやサービスは,暗号や認証のような基礎技術(Enabler)に支えられて初めて実現できるという側面もあります。我々,暗号・情報セキュリティ研究室では,暗号を核として,安心できる社会の実現に貢献すべく情報セキュリティの研究に取り組んでいます。
暗号研究は単にデータを安全に秘匿することのみを追求すると想像するかもしれません。しかし実際には,データを秘匿しつつ有効利用することも可能にするなどといった発展を今もなお急速に続けています(例:暗号データへの演算/検索処理,秘密データを含むプログラム難読化など)。こうした研究では,計算量理論,代数,確率論,アルゴリズムとデータ構造,情報理論など様々な数理的道具を駆使し,一見実現不可能に見える有用な(かつ不思議で魔法のような)技術を生み出し,情報を安全に扱える技術の普及に貢献しています。
この分野はセキュリティ基盤技術としての実用的な重要性と同時に,理論的な美しさもあるとても魅力的な学問であると思っています。皆さんとこの不思議なパズルを解くような楽しさとIdeaの素晴らしさを共有できたらと思っています。
研究目標
暗号・情報セキュリティおよび関連技術の基礎と応用の研究
研究室の方針
- 緻密な論理を細かく積み重ねる訓練により基礎理論への深い理解を得、それらを実社会の問題解決へ適用できるようになること
- 研究活動を通じて研究内容だけでなく学び方を学び、技術的内容を他者へ分かりやすく伝える方法も学び、一人の研究者/技術者として自立していくこと
- (意義のあることはえてして容易ではなく時間もかかるため)粘り強く挑戦すること
- (研究では失敗が連続しても、シャワーを浴びているとき、自転車に乗っているとき、夜中の2時にコーヒーを飲んでいるときなどにIdeaの一端が突然ひらめき、風向きがいきなり変わることもありえます)
- 国内外の学会に参加し、成果を発表すること
- 十分な研究環境の提供
研究室の環境
個々に自由に使える研究スペースがあり、参考文献など研究環境が整っています。また研究室の大学院に進学する場合は研究活動用ノートパソコン(あるいは希望に応じてiPadなど)を貸与しています。論文発表のために(あるいは研究に関連する勉強会などのために)出張が必要な場合は国際・国内会議参加に必要な旅費などの費用をサポートします。
ゼミ・研究の進め方
2週に1回程度:ゼミ、進捗議論、論文紹介
研究室配属時:輪講
知っておくと良い授業科目:情報数学A,データ構造とアルゴリズム,情報線形代数,情報セキュリティ,確率論,情報理論,コンピュータ数学
読んでおくと良い文献:暗号技術入門(アリス),クラウドを支えるこれからの暗号技術,公開鍵暗号の数理,現代暗号の誕生と発展,現代暗号、暗号と確率的アルゴリズム入門
卒業後の進路
セキュリティ分野を強化しようとしている企業からのニーズは大変多くなってきております。研究室の先輩たちは、日本を代表する企業、研究所、大学、官庁などだけではなく、広く海外でも活躍し、社会の安全な発展を支えています。
連絡先:西出隆志
Eメール:nishide(at)risk.tsukuba.ac.jp